
診療案内
小児皮膚科
赤ちゃんの肌はキメが細かく、みずみずしく、とてもキレイです。
いっぽうで、バリア機能はまだ未熟で、乾燥しやすく外からの刺激にとても敏感です。特に肌の弱いお子様は、小さい頃のスキンケアがその後の皮フのトラブルに大きく影響するため、早めの治療、スキンケアが重要です。また、「とびひ」や「みずいぼ」、その他ウイルス感染症など、子供に特有の皮フ疾患もあります。
院長は小児科医としての経験があり、また2児の母です。お子様の恐怖心を取り除くよう配慮した声かけ、診察、痛みの少ない治療を心がけています。また、小学生以上のお子様にはできる限り、自分自身で納得して治療を受けてもらうよう、丁寧に時間をかけて説明致します。
お子様の肌のこと、自宅でのケアのこと、どうぞご相談ください。
【代表的な疾患】
乳児湿疹、おむつかぶれ、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、とびひ、虫さされ、水いぼ、いぼ、やけど、にきび、ホクロ、毛孔性苔癬、など。
一般皮膚科
【代表的な疾患】
湿疹、アトピー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、接触皮膚炎(かぶれ)、じんま疹、ニキビ、帯状疱疹、口唇ヘルペス、足水虫、爪水虫、虫さされ、タコ・ウオノメ、ウイルス性いぼ、老人性いぼ(脂漏性角化症)、やけど、ホクロ、円形脱毛症、粉瘤、毛孔性苔癬、尋常性乾癬、床ずれ(褥瘡)など。
全ての年齢の方を対象に、皮膚・頭髪・爪・汗等、幅広く皮膚診察いたします。また、女性医師ですので、女性のデリケートな皮膚トラブルもどうぞ安心してご相談ください。どこにも相談できないまま時間が経ってしまった、という患者さまも少なくありません。ぜひ勇気をだして受診して頂けたらと思います。
■ アトピー性皮膚炎
アトピー性皮膚炎は、生まれ持った「肌の弱さ(体質)」に、様々な「刺激(環境要因)」が加わって生じる慢性の皮膚炎です。保湿ケアを主体に、適切なステロイドなどの外用、かゆみ止めの内服を組み合わせた治療を行いますが、一番大切なのは、自宅でのスキンケア、環境の整備です。当院では、外用後に使用するチューブ型包帯(チュビファースト®)の取扱もございます。
⚫︎ ステロイド以外の外用薬
プロトピック軟膏®︎(一般名:タクロリムス)
アトピー性皮膚炎の治療に使われる免疫抑制外用薬です。ステロイド外用薬とは異なる作用機序で、過剰な免疫反応を抑えて炎症やかゆみを改善します。塗り始めにヒリヒリ感やほてり、かゆみなどの刺激感が出やすいですが、通常1週間ほどで治まります。プロトピック軟膏は、アトピー性皮膚炎の外用治療の選択肢として、ステロイド外用薬と使い分けながら長期的に安全に使用できる薬です。
コレクチム軟膏®︎(一般名:デルゴシチニブ)
2020年に日本で発売された、アトピー性皮膚炎の治療に用いられる世界初の外用JAK(ヤヌスキナーゼ)阻害剤です。サイトカイン(IL-4、IL-13、IL-31など)がJAK経路を活性化し、炎症やかゆみを引き起こしますが、コレクチム軟膏はこのJAK経路をブロックし、炎症・かゆみを抑えます。ステロイドやプロトピック(タクロリムス)とは異なる作用機序で、皮膚萎縮や刺激感が少ないのが特徴です。生後6ヶ月の乳児から使用でき、長期使用しやすく刺激が少ない新しいアトピー性皮膚炎治療薬です。
モイゼルト軟膏®︎(一般名:ジファミラスト)
2022年6月に発売れた、アトピー性皮膚炎治療のための国内初の外用PDE4(ホスホジエステラーゼ4)阻害剤です。従来のステロイドや免疫抑制剤とは異なる新しい作用機序を持つ非ステロイド外用薬です。PDE4という酵素を選択的に阻害し、炎症を抑制するシグナル(cAMP)の分解を防ぐことで、炎症やかゆみを改善します。生後3ヶ月の乳児から使用でき、コレクチム軟膏®︎と同様、長期使用しやすく刺激が少ない新しいアトピー性皮膚炎治療薬です
※妊婦や授乳中の方への使用は推奨されていません。
ブイタマークリーム®︎(一般名:タピナロフ)
2024年10月29日に日本で発売された新しい外用薬で、アトピー性皮膚炎と尋常性乾癬の治療に用いられます。従来のステロイド外用薬や免疫抑制外用薬とは異なる新しい作用機序を持つ非ステロイド薬で、皮膚へのやさしさと高い治療効果が期待できる点が特徴です。
〈作用機序と特徴〉
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有効成分:タピナロフ(Tapinarof)
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作用機序:皮膚細胞内に存在する「芳香族炭化水素受容体(AhR)」を活性化し、炎症を抑える物質(炎症性サイトカイン)の産生を抑制します。また、皮膚バリア機能を支える分子の遺伝子発現も促進し、皮膚本来の健康な状態を取り戻す手助けをします。
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非ステロイド:ステロイドとは異なるため、皮膚萎縮や色素沈着などの副作用リスクが少ないとされています。
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適応症:アトピー性皮膚炎(12歳以上)、尋常性乾癬(15歳以上)。
〈使用方法〉
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1日1回、適量を患部に塗布。
〈主な副作用〉
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ニキビ、毛包炎、かぶれ、頭痛など。
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頭痛は外用後2~3日で生じ、軽度で数日でおさまるケースがほとんどです。
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局所の刺激感(かゆみ・赤み)。
⚫︎ デュピクセント®︎
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デュピクセント(一般名:デュピルマブ)は、アトピー性皮膚炎の主な原因物質である「IL-4」と「IL-13」というサイトカインの働きをピンポイントで抑えることで、「炎症」「かゆみ」「皮膚バリア機能低下」のすべてに効果が期待できる注射薬です。
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中等症~重症のアトピー性皮膚炎で、従来の外用薬(ステロイドやプロトピックなど)で十分な効果が得られない場合に使用されます。
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投与開始から早ければ1~2回の注射でかゆみの軽減を感じることがあり、16週間(約4か月)で多くの患者さまが症状改善を実感しています。
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皮膚の炎症やかゆみを根本から抑え、皮膚本来のバリア機能を回復させることで、生活の質(QOL)向上も期待できます。
(詳しくは診察時、医師にご相談ください。)

■ 結節性痒疹(ミチーガ®︎)
ミチーガ®︎(一般名:ネモリズマブ)は結節性痒疹のかゆみと皮膚症状を改善し、従来治療で効果不十分な患者さまに有効な新しい治療選択肢です。
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ミチーガ®︎は、結節性痒疹の強いかゆみや皮膚症状を改善する生物学的製剤(抗体医薬品)です。
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IL-31という「かゆみ」を引き起こす物質の働きをブロックし、かゆみや結節の形成、神経の増加などを抑えます。
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通常は初回60mg、その後4週間ごとに30mgを皮下注射します。
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既存治療(ステロイド外用剤や抗ヒスタミン薬など)で効果が不十分な13歳以上の患者さまが対象です。
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治療開始から16週ごろまでに効果が現れることが多く、かゆみや不眠、生活の質(QOL)の改善が期待できます。
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副作用としては、感染症(ヘルペス、蜂窩織炎など)、皮膚症状の悪化、注射部位の反応、過敏症などが報告されています。
(詳しくは診察時、医師にご相談ください。)

■ 舌下免疫療法(スギ・ダニ)
舌下免疫療法(SLIT:Sublingual Immunotherapy)は、アレルギー性鼻炎やスギ花粉症などのアレルギー疾患に対して、アレルギーの原因となる物質(アレルゲン)を少量ずつ舌の下に投与し、体をアレルゲンに慣らしていくことで、アレルギー症状を根本的に改善する治療法です。
《適応疾患》
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スギ花粉症
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ダニアレルギー性鼻炎
《特徴と効果》
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根本的な体質改善が期待できる
抗ヒスタミン薬などの対症療法と異なり、アレルギー反応そのものを起こしにくい体質へと導く治療法です。 -
治療期間は長期
通常3~5年の継続治療が推奨されます。 -
治療後も効果が持続
治療を終了した後も、アレルギー症状の軽減効果が長期間続くことが報告されています。 -
副作用は比較的少ない
舌下投与のため、全身的な重篤な副作用が起こりにくいとされています。
(詳しくは診察時、医師にご相談ください。)

■ 多汗症(腋窩・手掌)
エクロックゲル5%®︎
エクロックゲル®︎は、原発性腋窩多汗症(わき汗が多く日常生活に支障をきたす状態)の日本初の保険適用外用薬です。有効成分は「ソフピロニウム臭化物」で、交感神経からの汗腺への発汗指令(アセチルコリン作用)をブロックし、発汗を抑えます。
・使い方:1日1回、両わきに塗布。
・効果発現:約2週間
・副作用:皮膚炎(かぶれ・かゆみ)、散瞳(まぶしい)、霧視、口渇など。閉塞隅角緑内障や前立腺肥大による排尿障害がある方は使用できません。
・年齢制限:12歳以上
ラピフォートワイプ®︎
ラピフォートワイプは、原発性腋窩多汗症の治療薬で、2022年に日本で発売された1回使い切りタイプの拭き薬です。有効成分は「グリコピロニウムトシル酸塩水和物」で、作用機序はエクロックゲル®︎と同様です。
・使い方:1日1回、両わきを拭く。
・効果発現:約1週間
・副作用:エクロックゲル®︎と同様。
・年齢制限:9歳以上
アポハイドローション20%®︎
アポハイドローション20%®︎は、日本初の原発性手掌多汗症に対する保険適用の外用薬で、2023年6月に発売されました。有効成分は「オキシブチニン塩酸塩」で、抗コリン作用により発汗を抑えます。
・使い方:1日1回、就寝前に両手掌全体に5プッシュを目安に塗布し、翌朝に洗い流します。
・効果発現:約1ヶ月
・副作用:エクロックゲル®︎と同様。
・使用制限:12歳以上
塩化アルミニウム製剤(自費)
・発汗腺の出口を物理的にふさぎ発汗を抑える。
・保険適用外だが、安価で自費診療で処方されることが多い。
・皮膚への刺激やかぶれが副作用として比較的多い。
・当院では「D-bar」「D-tube」などの取り扱いがあります。
(詳しくは診察時、医師にご相談ください。)
■ 「イボ?」それとも「みずいぼ?」
「イボ」と「みずいぼ」は別の病気です。
「イボ」は正式には尋常性疣贅(じんじょうせいゆうぜい)といい、ヒトパピローマウイルスが原因です。一方、「みずいぼ」は伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)といい、まったく別のウイルスが原因です。
「イボ」は液体ちっ素による冷凍凝固療法が一般的です。痛みを伴う治療のため、お子さまの理解やご家族の協力が必要です。サリチル酸ワセリンの外用を併用することもあります。
一方、「みずいぼ」は専用のピンセットでつまんで取るのが一般的です。当院では、痛みを取り除くために、麻酔テープの使用を推奨しています。1時間半ほどで痛みはほとんど感じなくなります。「イボ」と違い、年齢とともにできにくくなります。
※ 麻酔テープの使用をご希望の場合は、効果が出るまでの時間(1時間半ほど)を考慮し、早めの時間帯に受診するようお願いします。
■ 痛みの少ない「イボ」治療(モノクロロ酢酸)
「イボ(尋常性疣贅:じんじょうせいゆうぜい)」はウイルス感染によるもので、治療は上述のとおり、液体ちっ素による冷凍凝固療法(保険適応)が一般的です。しかし、液体ちっ素は痛みを伴い、小さなお子さまには辛い治療となります。また液体ちっ素がなかなか効かない「難治性のイボ」も存在します。